向けられた疑惑

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  「警部、携帯電話の履歴を調べてみたのですが……」 不意に、別の警官が駆け寄ってきて、笹見に耳打ちをする。 それを聞いた笹見はもう一度大石に向き直った。 「おい、お前。深夜一時過ぎに被害者から電話を受けただろ」 「えっ?」 思わぬ言葉に、慌てて携帯電話を取り出して確認する。 それを、すかさず笹見が奪い取った。 「あ、ちょっと……」 抗議する彼を他所に、笹見が素早く着信履歴を開く。 そしてその内容を確認すると、勝ち誇った表情で大石にそれを見せ付けた。 「おいおい、どうなってんだ? 伊藤詩織からの着信履歴が消されてるじゃねえか」 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! 俺、本当に着信なんか受けてないんですって!」 「馬鹿なこと言ってるんじゃねえよ。伊藤詩織の携帯にはきちんと発信履歴が残ってんだよ。どうして消したんだ? おい」 大石の弁明など聞く耳持たず、笹見が詰め寄る。 しかし、大石としては本当に覚えが無いのだから何も言えようはずが無い。 そんな大石に痺れを切らしたのか、笹見がゆっくりと口を開いた。
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