晴らされた疑い

2/6
前へ
/32ページ
次へ
  「朗報だ。お前への嫌疑が晴れた」 署内で一夜を明かし、起き抜けに笹見から聞かされた第一声は、一瞬で大石の頭を覚醒させた。 「どういうことです? 真犯人の目星がついたんですか?」 大石の問いに、笹見がゆっくりと首を振る。 「違う。お前がここに居る間に、もう一つ事件が起きたんだよ」 「もう一つ……? 今度は誰が殺されたんですか!?」 身を乗り出して聞く大石に、笹見は大きなため息を吐いた。 「お前には関係ない人間だ。俺の部下だよ。昨日、お前の前で自己紹介もした中川だ」 「あの人が……なぜ!?」 「そんなのはこっちが聞きてえよ!」 堪えきれぬ苛立ちに、つい声が大きくなる。 それだけ、彼の死は不可解だった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加