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「朗報だ。お前への嫌疑が晴れた」
署内で一夜を明かし、起き抜けに笹見から聞かされた第一声は、一瞬で大石の頭を覚醒させた。
「どういうことです? 真犯人の目星がついたんですか?」
大石の問いに、笹見がゆっくりと首を振る。
「違う。お前がここに居る間に、もう一つ事件が起きたんだよ」
「もう一つ……? 今度は誰が殺されたんですか!?」
身を乗り出して聞く大石に、笹見は大きなため息を吐いた。
「お前には関係ない人間だ。俺の部下だよ。昨日、お前の前で自己紹介もした中川だ」
「あの人が……なぜ!?」
「そんなのはこっちが聞きてえよ!」
堪えきれぬ苛立ちに、つい声が大きくなる。
それだけ、彼の死は不可解だった。
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