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「大石、お前にはこれから放火事件を担当する刑事が話を聞きにくる。それが終わったら帰っていいぞ。長々とすまなかったな」
「いえ、任意ですから問題ありません。それより、この事件の犯人はいったい……」
「お前は余計なことを考えなくていい! あとは警察に任せるんだ!」
大石の何気ない言葉に、思わず声を荒げてしまう。
誰かが余計な動きをすることで、また一つ死体が増えてしまうかも知れない。
今はそれが、どうしようもなく恐ろしかった。
「……分かりました。素人がでしゃばってすみません」
そんな笹見の態度に、大石が一歩引いて頭を下げる。
大石としても、大事な友人を殺害されたのだから、抑えきれない激情は胸の中で燃えさかっている。
しかし、それを目の前の刑事にぶつけても仕方ないと思った。
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