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大石が警察署を出る頃には、既に夕刻を回っていた。
こらえ切れぬ想いを胸に抱いたまま、帰路に就く。
友人に連絡したところ、大石宅で皆待っていると言う。
詩織の死に心を痛めているのは誰もが一緒だろう。
あの惨劇を引き起こした犯人の逮捕を望んでいるに違いない。
だからこそ、あの出来事を話そうと思った。
信じてもらえなくてもいい、笑われてもいい。
だが、このままではまた、大事な友達が犠牲になってしまうかもしれないのだ。
決意を胸に、帰路を行く。
行く手に懐かしい鉄工所の看板が、夕日を浴びて輝いていた。
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