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「おう、中川か。どうだった？」
笹見が電話に出ると同時に問いを放つ。
すると、若干興奮した様子の中川の声が返ってきた。
「あ、警部！ 例の件を調べたんですが、なかなか面白いことが分かりましたよ」
「面白いこと？ なんだそりゃ一体」
携帯越しの中川の言葉に、笹見が思わず身を乗り出す。
小骨が喉に引っかかるように、ずっとチクチクと胸を突き刺し続けていた事件なだけに、新たな事実に出会えるということは嬉しかった。
「ええ、ただ今は運転中なので……。とりあえず資料を持ってきていますので、警部の部屋でじっくりお話しましょう」
「……ああ、分かった。それと、今の話には関係ないんだが、どうしても今すぐに確認しなくちゃならないことがあるんだが……」
――笹見の声が、震える。
何かを感じたように、何かに気づいたように。
「はい？ なんですか」
対する中川は、あっけらかんとした様子で答える。
聞きたくない、確認したくない、しかし聞かないわけにはいかない。
笹見は息を呑んで、ゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
「――今、お前の側には誰もいないよな？」
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