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「ひいっ……!?」
あまりに冷たい手の感触に、中川が悲鳴をあげて背後に倒れ込む。
闇の中に浮き出したように、白いワンピースの少女が笑っている。
「な、なんで……! なんで君がこんなことをするんだ! おかしいじゃないか! 君は誰も恨んでなんか……」
全てを知った中川が、必死で面前の少女に問いかける。
首を折り曲げられた少女は、それでもなお狂気の笑みを浮かべていた。
「……あそぼっ。あそぼっ。あそぼっ」
壊れたオルゴールのように同じ言葉を繰り返す。
その瞬間、中川は全てに気付いてしまった。
「そうか……君は、君ではない……!」
少女は答えずに、地面に倒れる中川の上に馬乗りになる。
「やめろ……! もうやめてくれ! 意味ない! 何の意味も無いじゃないか!」
命乞いと説得を交えた言葉で懇願するも、少女が聞き入れる様子は無い。
冷たい二本の手が、中川の手にかけられる。
――その瞬間、彼は自らに待ち受ける残酷な運命を知った。
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