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「この子が死んだとき、俺たちはまだ子供だったじゃないか! この子の死と俺たちは何にも関係ない。それなのに、なんで詩織が殺されなくちゃならないんだよ!」
声を荒げる榊原に、大石は何も答えることができない。
確かに、そうなのだ。
あの少女が、例えば誰かに殺されたのだとしたら、恨むべきはその犯人のはずだ。
それなのに、詩織や警官、はたまた自分の関係者が毒牙にかけられる状況は全く理解できない。
もし、彼女が自分に何らかの恨みがあるのだとしたら、それはいったい何なのだろう。
本当に、全く思い当たる節がないのだ。
まだ、まだ何かがある。
この事件の背景には、まだ自分の知らない何かがあるのだ。
「町内会の会長って、島のことについてすごい詳しかったよな。聞きに行ってみないか」
「あ、ああ。そうだな、すまん」
落ち着きを取り戻した榊原が、大石の提案にうなずく。
まだ、日は高く昇っていた。
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