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町内会長の家は、図書館から数百メートルの距離にあった。
ひまわり畑に挟まれた道を歩けば、ここがあまりに平和でのどかな島であるような気がして、胸が痛む。
遠くに見える白い木造の家屋が、陽炎の先で日の光を帯びてキラキラと輝いていた。
「そういえば、久々に帰ってきたのに挨拶もしてなかったな」
「この機会だから挨拶しておけばいいじゃねえか! 島長にもな」
ここはそこまで広くない島なのだが、銀杏島東町と銀杏島西町という二つの町に分かれている。
昔に何かゴタゴタがあり、その際に分断してしまったとのことだが、詳しいことは大石達も知らない。
実際、今は特に確執があるわけでもなく、仲良く交流しているのだが、祭りやスポーツ大会などの時に相手がいた方が張り合いがあるという理由からか、未だに町は二つ残っているのだ。
今から向かう先は、大石の住む東町の町長の家。
幼少期以来の訪問に、些かの緊張を覚えた。
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