絶対に死ねない

10/16
前へ
/16ページ
次へ
  地面を這いつくばって、ビルから逃れる。 背後では、ビルの周りを探している少女の足音が聞こえてくる。 このままこっそりと見えない位置まで移動し、頃合いを見て走り抜ける。 しばらく進めば、夜でも人が多い居酒屋通りに辿り着く。 そこに到着すれば、さすがに追っては来ないだろう。 そう思った矢先だった。 「しまっ……」 荒井の手が、落ちていた空き缶を弾いてしまう。 カラン――と、高い音が夜闇に響き渡る。 その瞬間、折れ曲がった首がグルリと荒井の方を向いた。 「……みぃつけた!」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加