28人が本棚に入れています
本棚に追加
地面を這いつくばって、ビルから逃れる。
背後では、ビルの周りを探している少女の足音が聞こえてくる。
このままこっそりと見えない位置まで移動し、頃合いを見て走り抜ける。
しばらく進めば、夜でも人が多い居酒屋通りに辿り着く。
そこに到着すれば、さすがに追っては来ないだろう。
そう思った矢先だった。
「しまっ……」
荒井の手が、落ちていた空き缶を弾いてしまう。
カラン――と、高い音が夜闇に響き渡る。
その瞬間、折れ曲がった首がグルリと荒井の方を向いた。
「……みぃつけた!」
最初のコメントを投稿しよう!