絶対に死ねない

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居酒屋通りを抜けて、足早に家路につく。 今回は助かったが、明日からまたどうなるか分からない。 しかし今はただ、生の喜びを噛み締めたかった。 やがて、見慣れた我が家にたどり着くと、荒井は未だに震える手で鍵を開ける。 扉を開けば、愛する妻である佐和子の姿がそこにあった。 「おかえりー、遅かったじゃない。あずみは寝ちゃったわよ」 「ああ、ただいま。悪かったな、仕事が遅くなっちゃってさ」 玄関で靴を脱ぎながら答える荒井。 ――その首に、佐和子の手が絡みついた。 「それだけじゃ、ないでしょ?」
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