絶対に死ねない

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「……ん? なんだ、夢かよ」 ――目を覚ますと、そこは会社のデスクだった。 いつの間に眠ってしまっていたのか分からない。 だが、少なくとも現実の自分は生きている。 その事実に、荒井は安堵した。 汗でじっとりと湿ったシャツを手で仰ぎながら、つけっぱなしだったパソコンの画面に目をやる。 ――その瞬間、荒井は全身の血の気が引くのを感じた。 そこには、愛する妻子の首を折られた死体が映し出されていたのだ。 なんだ? どういうことだ? 俺はまだ夢を見ているのか? これがまだ夢の続きであれと願い、自らの頬を張るも、ジンジンとした痛みだけが残る。 疑念が、焦燥が、絶望へと変わる。 その瞬間、彼の首に冷たい手が絡みついた。
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