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地面に着地するや否や、衝撃で倒れこむ。
体勢は悪くなかったはずだが、いかんせん高さがありすぎた。
降り立った場所は会社の裏手。
植込みを跨いでいけば、逃げられるはずだ。
しかし辺りは暗く、人の気配もない。
あまり大きな音を立てれば、見つかってしまうだろう。
慎重に、慎重に腰の高さほどもある植込みを跨いでいく。
その瞬間、一階と二階の間の窓をバン! と叩く音がした。
「ひっ……!」
荒井は転がるように植込みの向こうに降り立ち、身を屈める。
カラカラカラ……と、窓の開かれる音。
そして、何かが土の上に着地する音。
――来ている。
あの女が、窓から飛び降りてこちらに来ている……!
荒井は身をかがめたまま、ほふく前進のように地面を這い、移動を始める。
なりふりなんて構ってはいられない。
絶対に、生き残らなければならないのだから。
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