最後の鬼ごっこ

12/13
前へ
/27ページ
次へ
次の一瞬、大石の身体が勢いよく引っ張られた。 目の前には、眞砂子の姿。 首は折れていない、二人で遊んでいた頃そのままの眞砂子だった。 「……めんなさ……い。……めんなさい!」 舌足らずな言葉で、少女が泣きじゃくる。 その小さな身体を、大石は優しく抱きしめた。 「こっちこそ、ごめんな……」 大石もまた、涙を流していた。 この少女は、自分が裏切るまで、苦しみながらも自分を待ち、守ってくれていた。 誰も傷つけずに、思い出の場所で待っててくれていた。 彼女は、ただ周りの大人に振り回されただけなのだ。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加