雪が降るその日に

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「ううっ、寒いよ……。 行きたくないなぁ……。」  冬の日の朝は当然ながら冷え込む。  学校に向かう為に木製のドアを開けた蓮の金色の髪を、冷たい風が揺らした。  マフラーも手袋もしっかりと着用し、着太りどころではなくなっている蓮であったが、それでも寒いと、体を震わせると共に口から弱音を吐く。 「もう、蓮ってば本当に寒がりなんだから!! 私の事をもっと見習ってくれても良いんだからね。」 「うわっ!!」  と、明るくはきはきとした声が聞こえると共に背中に強い衝撃を受け、まだ半分温かな部屋の中にいた体は完全に外へと押し出される。  一瞬ふらつき、こけてしまいそうになりながらも踏ん張った蓮は、急いで後ろに振り返った。 「酷いよ凛!! 転んじゃったらどうするんだよ!?」  夏の空の様に明るい青色の瞳。  眩しい朝日を浴びてきらきらと光る金色の髪。  トレードマックでもある白いリボンが、頭の上に見えるように縛られている。  厚着ながらも手袋もマフラーもしていない少女――双子の姉である凛が、光る髪と同じぐらいきらきらした笑顔を顔に浮かべながら立っていた。 「蓮ってば怖ぁい!!逃げろぉぉぉぉ。」  少しだけ腕を上に上げて、怒ったぞ?ポーズをしている蓮に対し、何時もの調子で凛は蓮に捕まらない様にしつつ、その周りをくるくると走る。
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