雪が降るその日に

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「もう、今日こそ捕まえるぞ!!」  そんな言葉を出しつつも、面白いぐらいに自分の手をひらひらと避けて行く凛。  蓮も意地になって必死になっていれば、そんな自分に気付いてか、凛はその手を避けながらも嬉しそうに蓮に振り返った。 「蓮は、学校でもそうやって普通にしてれば良いのにね。」 「!!」  その凛の嬉しそうな言葉に蓮の動きは止まる。  そんな蓮に対し「ん?」っとなった凛もその動きを止めた。 「どうしたの、蓮?」 「別に、何でもないよ……。」  どうして、こんなに違くなっちゃったのかな?  蓮の心の中ではそんな漠然とした疑問が浮かんだ。  見れば自分と同じぐらいの背格好、髪、瞳の色をした姉がいるのに、何時の間にか自分とは違くなってしまったその顔をじっと見つめてしまう。 「な、何か蓮が変だよぉ!!」  そんな蓮の急変ぶりに驚いたらしい凛は、大袈裟とも取れる反応をした後に、家の中から出てきたばかりの少女の方へと走って行った。  淡くもしっかりと色づいている水色の髪。  きちんとツインテールにされたその髪からは、几帳面さが窺える。  髪と同じく水色の瞳を見開いた少女――2人の姉の未空は、大きな声を上げて自分の方へと突っ込んできた凛を優しく抱き止めた。  年はまだ16歳のはずだが、凛が抱き着けば数歳は年上に見える。 「ど、どうしたの凛?」 「蓮が急にぼうっとしだしたの!!」  可愛い妹のその言葉に、未空は小首を傾げつつ凛と共に蓮に近付く。  
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