0人が本棚に入れています
本棚に追加
「冗談よ、冗談。
そんなにぷりぷりされたら疲れちゃうわよ。」
「ぷ、ぷりぷりって……。
私は明子の事を心配して言ってるのに……。」
「心配し過ぎなのよ。
今ではそれが美空にまで移っちゃってるし……。
そんなんだと禿げちゃうわよ?」
冗談混じりに出した言葉。
カラッと明るく笑う明子に対し、スタイルも良く、確実に美人の部類に入る瑠花は、耐えられないとでもいう様にグッとその眉を寄せてしまう。
あ、まずい……。
そう明子が思っている間に、何とも簡単に瑠花の瞳は潤いを増し、綺麗な涙がその白い頬をゆっくりと流れて行った。
「何でそんなに簡単に涙が流れるのかしら?」
既に瑠花の涙腺の緩さを知っている明子が、感心します、というような口調で言えば、それがますます瑠花の感情に火をつける。
「それは明子が泣かないからでしょ!!」
キッと睨みを効かせて瑠花が感情を顕にすれば、流石に明子も慌てたらしく、ごめんごめんと宥めるように謝罪の言葉を述べた。
「ちゃかして悪かったわよ。
瑠花が私の事を心配してくれてる事はちゃんと分かってるし、心から感謝してる。
でも、そんなに簡単に泣かないで。
なんだか心配になっちゃうわ。」
「……………。」
明子の少しだけ困ったような表情を見た瑠花は、ハッとしたように涙を止め、直ぐに頬に伝う涙を拭った。
最初のコメントを投稿しよう!