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「時間」
置いてきぼりにされるほど傷は消えていくもの
そんなものは元々なかったんだ
ないものに憂いを買っても無駄遣いでしかない
ぶつかった肩に傷痕はできない
通行人たちの顔はみんな真っ黒で見えない
顔を俯けるなんて勿体ないよね?
長くなっていた前髪をうえでまとめあげて
明るい景色を堪能してみようよ
足並みを揃えなかった私が悪いと皆は言う
言われなかったときよりはマシだよね
何も知らされないままでいたなら
何も知ることができないでいたのだから
世界はとても広いと人は言う
世界はとても狭いと私は言う
視野が狭いと私に言う
視野が狭いよねと言い返す
どうせ傷などつかないのだから
「君はかわいそうだね」と誰かが呟いていた
そんなことを言う君がかわいそうだ
君の当たり前を私に当てはめないで欲しい
私の当たり前は誰とも違うのだから
それを君も当たり前にしてしまえばいい
そんな当たり前のことを言わせないで
のびきっていた前髪を一線と切り離して
いつかの感情も一緒に床に散らばった
歩く幅を不規則に変えて疲れてしまった
だけどそれが
私のアイデンティティー
自分らしく歩いていたはずなのに
自分らしさに気付いていなかった
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