いつかの雨

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「小さなおばけ」 「ここにいるよ」 「見えないの?」 姿のない小さなおばけ 「あそぼうよ」 「無視してるの?」 人には分からないゆめ つぶらな瞳も かわいらしい笑みも 何も伝わらない あの子は小さなおばけ 誰も気付かない小さなおばけ 姿がないなら物を動かそう 見えないなら声をかけよう 動かした物は壊れてしまった …声は届かないようだ それでも周りは反応する それが楽しくって 毎日のように悪戯をくりかえすようになった 「ここはいやだ」 「見えないよ」 遠ざかる小さな背中 「あそぼうよ」 「無視しないで」 人には分からないゆめ つぶらな心も かわいらしい思いも 何も伝わらない あの子は小さなおばけ 誰も気付かない小さなおばけ 姿の見えない寂しい町 探したけれど誰もいない 動かして壊れてしまったもの …声は届かないようだ それでも周りは変化しない それが悲しくって 毎日のように大雨をくりかえしてしまうんだ 「ここらはいい」 「見とれそう」 耳に入った小さな声 「遊ぼうよ」 「無視されても」 人には分からないゆめ つぶらな蕾が かわいらしい小鳥が 声を伝えている あの子は小さなおばけ 彼は気付いてる小さなおばけ 姿の見えない小さな君 廃墟のうちで縮まっている 動かして壊してしまうけど 声が届かないとしても それでも君はここにいる それがおっかないって 毎日のように遠慮をくりかえしてしまうんだね ねえ、君は知っているかい?
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