いつかの雨

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「うつつ」 日の広がる音の色が空気へ溶けて染み渡る こぼしたての空に囲いを見つけようとして探せば ぽつんと置かれたボタンはとても弱々しかった 撫でる風に心地よく倒れ込んで眠りに落ちる ざらざらしら寝床は服を汚してくるけど どうにも今は眠たくてしょうがなくて プラネタリウムを思い描きながら天井を見る 何もない灰色の空にはやはりボタンが置かれいた 眠りの中で誰かの夢を見守っていたけれど 知りもしないその子はいつも背中を見せていた 小さくなる影は足を止めて枠外へと腕をのばす 開始の合図は何もなく今日を進めていく毎日 服に付いた砂をはらえばその手に付着するのに 相も変わらずその行動を繰り返し懲りないでいる 温かな布団に気を引かれ二度寝をしたくなるのは 覚えていない夢の内容に魅了されているからか 小さく見えないはずの誰かから目を離すことはなく 辿ってきた道をひたすらにずっと後を追いかけて やっと顔を拝んだときに飲んだ言葉は着付け薬になる 苦い 甘い 辛い 酸っぱい おはようは言うべきか? 渋い えぐい 旨い しょっぱい おやすみはまた今度 ボタンが外れて転がるのならその痕を辿るといい わずかに残った痕跡を見つけられるのなら その形の意味にもきっと気付けるはず 有りもしないプラネタリウムは眠りを誘う なんて綺麗な光景に、ただ心を奪われていく あのときのボタンは見失い、盲目してしまった 誰かの夢の行方に興味を示さなくなったのは その子の顔すら消してしまったからとは思いません
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