いつかの雨

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「君と私」 たった一クラスしかない私の学年 気にかけなくても自然と目に映っていた姿 始めて会話した内容は全く覚えていない いつの間にか一緒にいるようになった 帰り道は真逆の方向だったのを憤り 無理難題なことを言って意地悪してしまった なのに君は笑って受け流すから 申し訳なく思う反面腹も立っていた 私が不機嫌になった時は いつもお菓子を持ってきてくれた 貰ったお菓子を半分にして並んで一緒に食べれいれば 広がる甘さが嬉しくて ついつい笑ってしまうのだ 始めて意識したのは何度目かの冬 机にこっそり忍ばせたプレゼントのチョコ 面と向かうのが妙に恥ずかしくて 宛名も書かずにそれだけを置いてみた 食べてくれたのか聞きたかった 美味しかったのか聞きたかった 匿名にしてしまったことを 後々ながらに悔やんでしまった 気付いてか無自覚にか 君は私にプレゼントを貰ったと自慢してきた 「美味しかった」の言葉を間接的にでも言ってもらえたことが 本当に恥ずかしくて 遊ぶ約束も忘れて走って帰宅した ずっとずっと同じ学校にいたけれど とうとう「好き」とは言えなかった いつも一緒に遊んでいたのに やっぱり気付いてくはれなかった 卒業したら君に言ってやろう 今までの思い出を詰め込んだからきっと重いよ? 次にあったときに あのお菓子を持ってきてくれることを期待してみたり だけどやっぱり この気持ちには気付いてはくれないんだろうな だからそれもひっくるめて言ってやる 私の最高の笑顔でね
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