いつかの雨

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「胸の内」 真白なふわふわの毛 通り過ぎる人は皆「かわいい」と褒めてくれる 小さな茶色の箱 ここが私の寝床 タオルケットがお気に入り 最近見かける擦り傷だらけの子 「喧嘩」の愚痴をこぼしている 「分からないよな」と申し訳なさそう 尻目に澄まして顔を洗えば 土の香りが辺りを占める  雨宿りは期待しないで欲しいかな 建物たちの僅かな隙間 私の家はそこにある 濡れることはないけれど 地面伝いに水が迫ってくる あの子は濡れずにすんだだろうか またここに来て欲しいけど 雨がやむまでは口にしない 土で汚れた灰色の毛 通り過ぎる人は皆「きたない」と突き放す まだ声は澄んでいる 精一杯声を出す たまに誰かがご飯をくれる 相変わらず傷だらけのあの子 「喧嘩」続きで生傷が増えている 「早く治れ」と手当のつもり ザラザラとした肌触りはつまり かさぶたも含めたオウトツ 知らぬふりして白い目に怯えている 雨宿りできずに冷えたあの子 「今は分からなくていい」と 放れていく小さなガラス玉 この寝床はあの子がくれたもの タオルケットも雨で濡れて 声を出すのも億劫になって 建物たちの僅かな隙間 私の家はそこにある 濡れることはないけれど 地面伝いに水が迫ってくる あの子はすっかり濡れてしまった またここに来て欲しいけど 今は帰ってこないで 雨宿りできずに冷えたあの子 「今は分からなくていい」と 放れていく小さなガラス玉 この寝床はあの子がくれたもの タオルケットも雨で濡れて それでもお気に入りのまま あの子がくれた物だから ずっと大事に持っている
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