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 その夜は消灯時間が過ぎても、妙に寝つけなかった。頭のなかをさまざまな思いが駆け巡っている。自分とサイコを狙撃した犯人はまだ見つかっていなかった。深夜の行軍訓練で3班を襲撃した集団も謎のままだ。被害が逆島断雄(さかしまたつお)ひとりにとどまるならまだいい。だが、班の仲間まで危険にさらすことには強い罪悪感があった。 「タツオ、起きてるかい?」  囁(ささや)くような声は、二段ベッドでタツオの上に横たわるジョージからだ。 「ああ、起きてる。眠れないんだ」  妙に身体(からだ)が熱っぽかった。窓辺には月の淡い光がさしている。外に広がるのは無人の校庭だ。ポールには今、なんの旗もさがっていない。 「今回の事件をどう思う?」 「驚いたよ。誰も犯行声明を出していないから、どの勢力が爆弾テロを起こしたのかもわからない。なにより日乃元の中枢(ちゅうすう)が狙われたことがショックだ」
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