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 それが一般的な国民の反応だろう。ぎしっとベッドが鳴って、ジョージの声が降ってきた。 「それだけかい? 外国人襲撃については、なんとも思わないんだ」  女皇を直接狙ったテロに逆上した日乃元国民があちこちで、身近にいる外国人を襲っていた。皇国内でも連続してテロ行為が計画されている。つぎにバイオテロで狙われるのは上水道の施設、官庁街、放送局。外国のスパイによって原子力発電所も攻撃される。衛星放送でラルク公国の事件が流された直後から、そんな噂(うわさ)が人々のあいだに飛び交(か)っていた。政府も治安活動を担当した進駐軍も必死に、流言飛語を打ち消したが、血迷った人々は、暗がりにまぎれて包丁やバットをさげ外国人を襲った。  数百人の死者が発生したという緊急ニュースが日乃元だけでなく世界に打電されたが、実際の死者は外国人と間違われた皇国民17人をふくむ168人だった。
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