四、繋がれる想い

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現実と妄想ではかなりの差がある。 そんなにうまく何もかもが進んでいくようなら、この世の誰一人苦しむ事もなく、ましてや悩みなんてあるはずもない。 それが現実。辛く厳しい、人々の生きる世界。 子供の頃描いていたような華やかさはなく、時にはなりたくないと思っていたものになっていたり。 夢見た分だけの絶望が転がっている。 「現実って、とても寂しいものだね」 「そうかも」 「神様がもしいるのなら、どうしてこんなにも悲しみの溢れる世界を作ったんだろう。僕は常々そう思ってる」 「神様はいないよ」 私がそう断言すると、彼は驚いた様子で望遠鏡から顔を離して私を見た。 「どうしてそう思うんだい?」 「……世界には理不尽な悲しみ、不幸のまま死んでいく命、生まれる事すら叶わない事も数え切れないくらいある。神様がいるのなら、その悲しみや命をどうして救ってくれないの?」
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