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「そう、僕も神はいないと思うよ。僕たちがこうして出会えたのは奇跡かもしれないけど、神が起こした奇跡じゃない。単に偶然が誘発した奇跡だからね」
今までこの意見を言った事は何度かあるが、全く同じ意見の人間に出会ったのはこれが初めてかもしれない。
「でも璃帆、君はとても珍しいね」
「え、何が?」
「神の奇跡は信じないのに、愛の奇跡は信じるなんて。両方とも形のないものなんだけどなぁ」
「信じてるんじゃなくて、信じたいだけ。愛が奇跡を呼び込むなんて、なんだか素敵でしょ?」
「そうだね、それはとても素敵な事だね」
その後の言葉が繋がらなかった。
言葉こそ繋がってはいなかったが、今の私と彼の視線は間違いなく交わりあっていた。
言葉を無くしてただ無言で見つめ合う。
私の心臓が鷲掴みにされていた。
まるで彼という存在に吸い込まれていくような感覚。
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