四、繋がれる想い

14/22
前へ
/22ページ
次へ
心が奪われるとはまさにこの感覚の事。 「……」 「……」 心臓の鼓動がやけに耳障りに響いている。 この場所にいるのは二人だけ。 何かを気にする必要はない。 やがてお互いに魅入られるようにゆっくりと顔を近付け合う。 場の流れに、その空気に身を任せても構わない。 彼になら何をされたっていい。 私は奏樹という海の中で溺れているようだ。 頭の中にまで侵食するその水、私を虜にして離そうとしない。 全身に流れる血液が歓喜の時に酔いしれるように巡り狂う。 「えいっ!」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加