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心が奪われるとはまさにこの感覚の事。
「……」
「……」
心臓の鼓動がやけに耳障りに響いている。
この場所にいるのは二人だけ。
何かを気にする必要はない。
やがてお互いに魅入られるようにゆっくりと顔を近付け合う。
場の流れに、その空気に身を任せても構わない。
彼になら何をされたっていい。
私は奏樹という海の中で溺れているようだ。
頭の中にまで侵食するその水、私を虜にして離そうとしない。
全身に流れる血液が歓喜の時に酔いしれるように巡り狂う。
「えいっ!」
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