四、繋がれる想い

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私の反論を軽く受け流した彼の手に抱えられているのは白くて細長い筒。 先端には分厚いレンズが付けられていて、思っていたよりも重量がある。 そう、それは言うまでもなく天体望遠鏡だ。 大分古いので精度はかなり悪いと思われるが、子供の頃、お爺ちゃんと一緒にこれで夜空を見た事をよく覚えている。 「じゃあ奏樹、ちゃんと二階まで運んでね」 「そういうのは年長者がやるべきじゃないかな?」 「何言ってるのよ!力仕事は若い男子の仕事に決まってるでしょ!」 「……はいはい、やりますやります」 憎まれ口を叩きながらも、彼は素直にその機材を二階にまで運んでくれる。 二階の一室、その窓際に天体望遠鏡を二人で設置して完成。 「うん、出来た出来た!多分これで完成じゃないかな」
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