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痛い。
掴まれた肩と、
ドンッと壁に押し付けられた背中が。
彼は
私の首筋に、唇を寄せた。
ひどいな。
たぶん、礼弥と同じところ。
なんて乱暴な人なんだろう。
自分勝手で……
好きに構うくせに、私の気持ちは無視。
「い、痛いよ……ヴィクター」
それなのに
ドキドキしてしまう私は、終わってる。
おかしいんだ、きっと。
スッと、離れたヴィクター。
首筋が、痛い。
きっとくっきり赤い痕が残ってる。
「嫌なら突き飛ばせばいいのに、おまえはそれをしない」
「…………」
座り込んでしまってる私に
ヴィクターは、言い放った。
こんなに彼が冷たいのは
初めてかもしれない。
「キスも拒まないし」
「それは………」
「押し倒せば、それも受け入れるんだろうな」
私は
ヴィクターとは、そんな関係じゃない。
キスだけ。
それも、おかしな話だ。
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