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帰宅後、
私は鏡の前に立っていた。
しっかりついてる。
赤い痕……
まるで噛まれたみたいに、痛かった。
「……。ヴィクターのバカ…」
気に食わないなんて
それなら、無視すればいいのに。
構わないでよ。
あなたが最初から
キスなんてしてこなければ
私は
今でも礼弥とうまくやれてたかもしれない。
ううん。
そんなの言い訳かも。
私がしっかりしてないからだ。
ヴィクターが何してきたって
礼弥を好きでいること、できたはず。
できなかったのは
私の意思が、弱かったから。
「……………」
こんな赤い痕、
礼弥が知ったらどうなるんだろう。
ごめんね。
私はため息をつき、
タートルネックの服に着替えた。
絆創膏、貼っておこう。
“気に食わない”
本当に、嫌われたんだ。
そう思うと
なんだか、涙が出そうになる。
でも、これでよかった。
本当にもう
あの人のことは、忘れる。
気持ちを断ち切れるわ。
私は……。
to be continued… **
第7話に続く。
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