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「振られた? 嘘」
「こんな嘘、つくはずないじゃない」
私がしれっと返すと、
フィリアは眉をしかめて頷く。
顎に指を当てながら。
「そうよね、確かに……。そうだわ」
なんて
小さな声でブツブツ言いながら。
目線は斜め下気味で
いったい、どこを見ているのか。
「………。ヴィクターは、私のことなんて好きじゃなかったのよ」
自分で言ってて
突然、猛烈に悲しくなった。
勘違いした自分がバカみたいで
悔しくて、虚しい。
ニューヨークの男って
みんな、ああなのかしら。
騙された。
これも
いい勉強になったとかって
プラス思考に考えるべき?
“俺がおまえのこと、好きだと思ってたのか?”
“おまえみたいな女は、このみじゃない”
蘇る……
あの、クリスマス・イブの夜。
生きてきた中で史上最悪の
飛行機内でのクリスマスを迎えたし……
「てか、あんなん勘違いするに決まってんじゃん……」
「え?」
もう、とにかく最低。
ポジティブになんて
考えれるはずがないわ。
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