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いつごろの時代だろうか。
彼は小さな、本当に小さな村に生まれた。
暗闇から産まれたはずの彼の世界は胎内と変わらず暗闇だった。
彼は生まれながらにして眼と耳が不自由だった。
何も見えず、何も聞こえない。
暗闇の中で、村の人間からも恐れられて、彼は生きてきた。
古い時代の日本では、体の不自由は祟りだと云われてきた。
前世に罰を犯した者、とも云われていた。
そのなかでも、村の人間から彼に対する恐れはとりわけ大きかった。
真っ暗で、冷たくて、寒い廃墟に、彼を監禁し、一日に一食だけは、村の人間が交代で持っていく。
そんな生活が何年も続いた。
そして、【ある日】の事。
この日を境に、彼は変わる。
何人もの人間の魂を喰らいその人間に乗り移る存在になる。
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