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涼しい風が不安をひょいと持って行った
いま風に持って行かれた不安はまたすぐに胸をよぎるかもしれない
けれど
風はたとえ一時でも心の重荷を持って行ってくれた
彼に笑顔を連れてきた
彼が空を見上げる
その目は澄んだ青をうつし、透き通っている。
風は彼の頬に口づけをし、私の喉をくすぐって廊下をふきぬけていく
もう、彼はうつむいていない
彼の横顔に陰りはない
濁った未来と対峙しても、目は凛としている。
一つの荷物が降りた気がして、私は
チャイムの遠い音を聴きながら彼の肩にコツンの額をあてた
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