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「綺麗ですよね。」
そのひと言にそっと女は男の横顔を見た。
そして、コクリとうなずいた。
長月の末
とろりとした夕陽のこぼれた光に媚態をさらすおしろい花の群れを見て男はそう言った。
「夕化粧を施した遊女が綾を身に纏って袖を翻しているように見えるな。」
「なんか色っぽい見方をするんですね」
「ただそう思っただけだよ。」
男は軽い調子で言ったが、涼やかに切れ上がった目元には憂いが漂い、ほのかな、それでいて濃密な色気が漂っているようで
思わずドクリと胸が高鳴った。
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