第1話

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美しい黒水晶の瞳に湛えられている想いに焦がされていくような、痺れる感覚が脳を侵食する。 もう、顔が熱くてたまらない。 逃げ出したい。 こわい。 だけど、今を生き急ぐ花々のように、この時間はあまりにも愛おしく短い。 短い。あまりにも 女は男の視線を真っ正面から受け止めて、同じだけ想いを込めた。 沈黙が鼓膜をビリビリと震わせる。 風の音もうるさくて仕方ない。 男の薄い唇が小さく開いた。
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