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「アハハ!カスミって呼ばれてんの初めて聞いた!」
「修ちゃんが知らないだけで、普段も呼ばれてるわよ!私の名前なんだから!」
「あれ?ゲンちゃんの本名、カスミだったっけ?」
ニヤニヤしながら嫌味を言う牟田君に、カスミさんはプイッとそっぽを向いてしまった。
それにしても、カスミさんって、カスミじゃないんだ。
・・・オカマだもんね。男の時の本名があるよね。
ゲンちゃんって呼ばれてたから、ゲンなんとかって名前なんだろな。
あたしがそんな事を考えていると、あたし達の他に居た3人組の客が帰り支度を始めた。
「ゴンちゃん!ご馳走さん!また来るわ!」
「あら?もう帰るの?」
カスミさんは慌てて立ち上がった。
え?ゴンちゃん?ゲンちゃんじゃないの?
あたしの聞き間違い??
あたしが密かにパニくっていると、やっぱり牟田君がニヤニヤしながら話し掛けてきた。
「な?さっき言っただろ?
誰もカスミなんて呼ばないんだって!」
「で、でも...たまたまかもしれないし」
「ちげーよ!カスミなんて名前、本名聞いたらホントに霞むから、皆忘れんだって!
....教えてやろうか?」
そこまで言われるとさすがに気になるから、無言で頷いた。
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