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その後、牟田君はあたしがムッとした事なんて気にも留めずに、再び独りで爆笑しながら、テーブルに字を書き始めた。
それで知ったカスミさんの本名は『権代源二郎(ゴンダイ ゲンジロウ)』。
「ほら!この店『みなもと』ってゆーだろ。本名から一文字取ってるんだよ。
なのに、カスミって一体何?って感じしねー?」
「...いやぁ、別に。
てか、人の名前でそんなに爆笑出来る方が、一体何?って感じする」
あたしがそう言うと、今度は牟田君がムッとしていた。
確かに、綺麗なオカマであるカスミさんの本名にしたら、インパクトがあって渋いとは思うけど。
何もこんなに笑わなくても・・・。
「だって、イニシャルG.Gだぞ!ククッ..アハハ」
「...珍しいとは思うけど、そこまで笑う?」
「...プ。だってさ、ちっこい子供が、自分の爺さんのこと『じぃじぃ』って、呼んだりするだろ?アレみたいじゃね?
確かにゲンちゃん、孫居ても不思議じゃない年だしな!
でもジジイのくせに、ババアみたいなカッコしてんだろ?そこがウケるんだって!」
あたしと牟田君とカスミさん。この3人しか居ない店内に、牟田君の爆笑する声が響いた。
カスミさんはお客さんを見送った後、カウンターの向こうの調理場に戻っていたけど、そこから牟田君を無言で睨みつけていた。
でも、あたしは訊かずにはいられない事が!
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