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「多分、ホントよ。
....だって、この前来た時にね、梓ちゃんは今も此処に来てるのか訊いてきたのよ。
だから、『最近は水曜日に来るわよ』って教えあげたの。
ついでに、修ちゃんが置き去りにしたクワガタの世話をしてる事とかも教えたら、『あー、また礼言わなきゃな』って言ってたから、それで昨日来たんだと思うわ!」
「....そうかなぁ」
・・・でも、確かに昨日、クワ子さん達の事、『さんきゅーな』って言ってた。
それだけの為に、あんな状態で来たのかな?
それが、本当なら嬉しいけど、無理させたみたいで、なんか悪かったな。
「佐々木君だっけ?彼といつまで続くのかも分からないし、まだ諦める必要はないんじゃない?」
源ちゃんは、そう言ってくれたけど、やっぱり・・・。
「...あたしは女だから、ないってフラれたのに」
「...意固地な子ねぇ」
そう。牟田君の意思は固い。
例え、体調の悪いなか会いに来てくれたとしても、あたしには可能性がない。
・・・諦めるべきなんだろう。
溢れそうになったため息を、梅酒で流し込んだ。
その時、メールの着信音が鳴った。
スマホを取り出すと、牟田君からだった。
【昨日はごめん。もう大丈夫】
今朝のメールの返信だ。
こんな短いメールがとても嬉しかった。
自分の気持ちに嘘はつけないな。
・・・気が済むまで好きでいよう。
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