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あの後、脱力しきったまま帰宅した。 何にもやる気が起きなかったけど、習慣というのは不気味なもので、帰宅後は当然のように、バスタブにお湯を張る自分がいた。 それでも、あれからずっと頭の中を占めるのは、突然キスをしてきた牟田君の事ばかりだった。 佐々木君がいるのに、どうして・・・? そう思うのは勿論のことだけど、 突然だったとはいえ、拒みもせずに受け入れた自分に反省したり・・・。 でも、思い返すだけでドキドキする自分もいたり・・・。 とにかく、ずっと謎のキスに振り回されっ放しだった。 そんな状態で入浴したもんだから、逆上せる寸前まで風呂場に居た。 ・・・その後の脱力感といったら、ハンパなかった。 そして、脱力感どころか脱水感までハンパない自分の為に、水だけ飲んで、ベッドに倒れ込んでいたら、ピンポーンとチャイムの音が聞こえた。 だけど、起き上がるのがダルくて、知らんぷりをした。 それなのに、しつこく連打されるチャイムの音に、もしかして?と、さっきからずっと悩みのタネである人物の顔が思い浮かんだ。 仕方なく起き上がって、U字ロックを掛けたまま少し扉を開けると、やっぱり牟田君が居た。 「...牟田君、何?どうしたの?」 「....ヤらせろ」 「........くたばれ!」 開けたばかりの扉を力任せに閉めた。 .
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