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そして牟田君は、嫌そうにしながらもポツポツと話し出した。
「....佐々木君と全然ヤれなくてさ、ずっとギクシャクしてたんだよな」
「...そりゃあ、嫌だと思うよ?
男同士って痔になりそうで、あたしだったら絶対ヤダもん」
「...そーゆう事じゃねーんだよ。つーか、オレはお前と話すのがヤダ!」
「な、何で!?」
牟田君は、早くもそっぽを向いてしまった。
そして、急に立ち上がると、ベッドの下に転がっていた服を手にした。
「....ちょ、どうしたの?」
「....佐々木君とこ行ってくる」
「はああ?ヤる事ヤったら直ぐ帰るって何?あたし、まだ何も聞いてないし!」
牟田君は、あたしの言葉を無視して下着を履くと、ダルそうにこっちを向いた。
「...1から10まで話さないと分かんねーのか?
だから、さっき言っただろ?
佐々木君とヤれなかったって!
だから、オレはもう男として終わったんじゃねーかって、すっげぇ悩んでたの!この年で不能になったら、そりゃあ病気かと思うだろ!?」
牟田君は怒りを含みながらも、どこか悲痛な面持ちだった・・・。
「...嘘だぁ。牟田君に限って...」
・・・そんな事で悩んでたなんて、微塵も感じなかったけど。
てか、いつもより・・・って、思い出すと赤面しそうだから止めとこ。
「ほんとだっつーの。もう人生終わったと思ってたんだぞ!」
「....じゃあ、佐々木君とは、佐々木君が攻めで、牟田君がまさかの受けだったの!?」
「…お前、ほんとヤダ!マジでヤダ!
オレ、帰る!んで、佐々木君とリベンジして来る!」
牟田君は怒りながら、いそいそと服を着始めた。
その様子を眺め、笑っちゃ悪いと思いつつも、つい笑ってしまった。
・・・だって、ちょっと、いや、かなり嬉しくて、つい。
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