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「…んだよ?何笑ってんだよ?」
「…プッ。だって、行くだけ無駄だと思うよ?」
「…ぁ?なんだと?」
すっかり服を着終えた牟田君は、メガネ片手に、物凄い勢いで睨んできた。
「...だって、佐々木君とはデキなかったのに、あたしとはデキたんでしょ?」
「ああ。男としての自信を回復させてもらった。さんきゅーな」
「...いやいや、そうじゃなくて。
それって、あたしの事が好きなんじゃないの?」
牟田君は、一瞬わざとらしいほどに目を見開いて驚いた。
だけど、直ぐに失礼なほどの大笑いをした。
「オレが、アンタを!?あははっ!ウケる!
…それは有り得ねーな」
「...なんで?…あたしが女だから?」
「いや、それ以前の問題だ。
...佐々木君のが断然可愛い」
さっきまでバカ笑いしてたくせに、急に大真面目な顔をして、そんな失礼な事を言うから、本気でムカついた。
「ムカつく~!!
でも、でも、絶対そうだと思う!」
「それは、願望じゃねーの?」
「その上から目線の物言いもムカつく!
そ、そりゃあ、願望だけど、願望もあるけど、それだけじゃない!
ちゃんと根拠はあるの!」
「....ふーん。じゃあ、その根拠とやらを聞かせろ」
牟田君は再びメガネをかけて、ベッドに腰掛けた。
「....あんまり話したくないんだけどね。
嫌な思い出だし。でもね...」
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