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「....誘ったのあたしだから、全然大丈夫です。
牟田君、気にせず飲んでね」
「はーい!では、遠慮なく」
「駄目よ!私はもう出さないから!」
女将さんは呆れ顔で牟田君の隣に座って、あたしを見た。
「あなた、お名前は?」
「え?....遠藤です。遠藤梓(エンドウ アズサ)です」
「....梓ちゃん、あのね。私は修ちゃんとは結構付き合いが長いから、忠告しとくけど....」
「....はい?」
野太い声で急に名前を呼ばれただけでなく、初対面の人から忠告を受ける覚えも言われもなくて、少し戸惑ってしまった。
「....この子は所詮、顔だけだからね。こんなのもう誘っちゃ駄目よ!
見た目に騙されちゃ駄目!」
「....はあ」
「おい!ちょ、待て!なんつー言い草だ?つーか、アンタ仕事戻れよ!何寛いでんだよ!?」
「私の店なんだから、仕事しようが一服入れようが勝手でしょ!」
牟田君と女将さんは目の前で言い合いを始めてしまったけど、あたしは別に見た目に騙されて牟田君を誘った訳ではないので、そこはきちんと訂正したかった。
牟田君に気があると勘違いされては困る。
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