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「頼む! 色だけでいいから! なっ?」
「何だお前。そういうキャラだったのか!?」
「もう変態でも何でもいい! 教えてくれよ大介君!」
「わかった。わかったから俺に手を伸ばすな! 白だよ白!」
「白か……そうか」
色がわかるなり、シャギーは先程までのことが嘘のように冷静さを取り戻した。いつもの落ち着きのある顔で、爽やかに微笑んで見せる。
「さて、冗談はここまでだ。ここまでさ。ここまでですとも」
「いや、全然誤魔化しきれてないからな?」
「いいから、真面目な話だ。――きずなは、キミにとってもう友達か?」
不意打ちすぎる、本当に真面目な話。大介は言葉に詰まった。それから少し表情を曇らせ、口を開く。
「……友達じゃない」
「なら、僕と照子はどうだい?」
「お前らもだ」
「そうか」
特に傷付いたような様子もなく、シャギーは茶髪頭をポリポリと掻いた。大介はシャギーから視線を逸らし、居心地の悪そうな顔をしている。
「大介君。何故きずなが数多くいる友達の中から、僕と照子をキミに近づけたのかわかるかい?」
「……知らねーよ」
「僕らもかつて、自分の言技に苦しんでいたからだよ」
その言葉に、大介は反射的に視線をシャギーに戻す。シャギーは昔を思い出すように語り始めた。
「照子の方は何となくわかるだろ? 昔は今より何倍も照れ屋だった照子の周りには、誰も近づかなかった。当時は挨拶するだけでも落とされたらしいから、それを踏まえると周囲の判断は妥当なのかもしれない。そんで僕も、似たような境遇にいた」
大介は何も言わず、黙ってシャギーの話に耳を傾ける。
「触ると変なものを付け足される。今でこそユーモアとしてそれなりに受け入れられているが、昔は嫌われていた。アイツに触るとろくなことにならないってね。僕も照子もキミと同様、自分の言技が大嫌いだった。とはいっても、桜ランクのキミに言わせれば小さな悩みかもしれないけど」
「……俺が桜ランクだって知ってたのかよ」
「まぁね。話を続けるよ? そんな当時の僕らに救いの手を差し伸べてくれたのが――きずなだった」
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