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そういうわけで今現在、芦長、シャギー、照子、そして警官の四人はパトカーの中で身動きが取れなくなっていた。パトカーを囲むような形で不良達が武器を片手にニヤニヤと笑っている。
「いい加減、応援を呼べ」
助席で腕を組んでいる芦長が、運転席の警官へ意見を述べた。
「いや、だって俺芦長さんの無理を聞いて上司に嘘ついてここに来てんすよ? 応援なんか呼んだらバレてしまいますよ」
「そんなこと言える状況かよ。アイツらの気まぐれでいつガラス割られてもおかしくねーんだぞ。……まぁいい。なら拳銃ぶっ放せ」
「無茶言わないでくださいよ。むやみに使っていいもんじゃないんすから。当たり所が悪くて死んじゃったりしたらどうするんですか!」
「代わりに俺らが死ぬってんだよ!」
「うるせぇぞォ!」
一人の不良が、ボンネットに金属バットを振り下ろした。それを合図に、周囲の仲間達も一斉にパトカーをスクラップへ変えにかかる。
ヘッドライトが割れてサイドミラーはもがれ、ボンネットは凹みフロントガラスにひびが入る。
「きゃあぁぁぁ!」と叫び、後部座席で頭を抱える照子。流石に警察官も拳銃を取り出したが、パニックになり中々安全装置を外せずにいる。隣で舌打ちをした芦長は、後部座席へ声をかけた。
「社木、アレをやれ!」
「しっ、しかし車内では外から見えないぞ?」
「下が駄目なら上があるだろうが!」
「なるほど! わかった!」
芦長の考えを理解したシャギーは、怖がる照子に優しく声をかける。
「顔を上げるんだ照子。怖がる必要はない」
「無理です怖いですぅ! 私達はきっとこのまま殺されちゃうんです! うわぁぁぁん!」
「大丈夫だ。バンザイをしてみろ。そうすれば活路が見い出せる。僕を信じろ」
シャギーの目は、真剣そのものであった。照子は基本的にはシャギーを信頼している。きっと自分では想像もつかない解決策があるのだと思った照子は、頷いてから狭い車内で両手を上げた。
「ばばば、ばんざーいっ!」
すかさず照子のセーラー服の裾を掴むと、シャギーはそれをヘソの辺りから首元にまで一気に捲り上げた。露になるのは、ブラジャー。必ずしもパンツである必要はないのである。
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