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「あの輪っかに胴体を通せば、ボクが下階へ落下する心配はナイ。照子サンは恥ずかしがり放題という寸法サ! 早速試してみヨウ」
一方的に自身の力作を自慢すると、リオンは室内へと戻り輪っかを手に取った。
「はっ、恥ずかしいですっ!」
それは、予想できないタイミングでの発現であった。リオンを見た時から溜まっていた恥ずかしさが、よりにもよってこのタイミングで爆発したのである。
リオンの足元に大穴出現。力作であるロープの輪っかはまだ首の辺りにまでしか掛かっておらず、胴体まで到達していない。
「――んぐッ!」
よって、アパートでまさかの首吊りが執り行われることとなった。
◇
畳の上に転がる四人は、全員息を荒立てていた。窒息死寸前だったリオンはわかるが、それを助けるため奮闘した三人もかなりの労力を消費したのである。
「ホントにろくなことしないわねアンタは! 下階の人が留守だったからまだよかったものの。やっぱ帰りなさい!」
「そんナ!」
「まぁまぁ、待ってくれ育さん」
ここでシャギーが間に割って入った。育を落ち着けてから、リオンと向き合う。
「リオン君。キミは多少の不便があっても、このパーティーに参加したいかい?」
「勿論だトモ!」
「なら、これからすることに抵抗しないでもらえるかな?」
シャギーの笑みに何処となく嫌な予感を感じつつも、照子と同じ時を過ごせるのならばとリオンは決心して頷いた。
数分後、ガムテープでぐるぐる巻きにされたリオンが完成した。
「これなら照子はリオン君に見られる心配も触られる心配も、勿論過度に褒められる心配もない。これなら恥ずかしくないだろう?」
「はい。それはそうですけど……」
照子自身はこれで落ち着いてパーティーに参加できそうであるのだが、これでは流石にリオンが不憫すぎるように思えた。だが、被害者であるリオン本人はとても嬉しそうにクネクネと動いていた。それを育がゴミを見るような目で見ている。
「これから瀬野ときずなさんと叶さんも来るっていうのに、ここにこんな物(リオン)があったんじゃ邪魔よ」
「椅子くらいにはなるんじゃないかな?」
「座りたくないわよ。押入れに閉まっとくわ。手伝いなさい社木」
というわけで、残念なイケメンハーフのガムテープミイラは押入れへと収納された。スペースの取れた六畳間で、育は満足そうに頷く。
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