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「駄目だ!」
「何故ですか!生徒会長ッッ!!」
即答でダメ出しされた草案に、副生徒会長はなぜ駄目なのか、その理由を大地に求めた。大地は、ふぅと一息付くと、副生徒会長に向かい、ゆっくりと指を差した。
「この案は、俺が法律になっていない」
「当たり前ですッッ!!」
大地の意見を、副生徒会長は即答して切り捨てた。
副生徒会長は、昔から正義感の強い男だった。
高校で生徒会に入ったのも、学校の治安と風紀を護るため。その為に、どうしたら生徒達がより良い学校生活を送れるのか、副生徒会長は毎日寝る間も惜しんで考えた。そして、ようやく完成した草案が『海岸端高校・改革計画』だったのだ。
「大体なんだ。この『生徒会長は全てに置いて自粛すべき』という意味の分からん項目は。俺が何故、自粛しなければならん。理解に苦しむぞ?」
「生徒会長は、全てに置いて横暴過ぎます。生徒集会での発言、日々の行動、その全てが他の平和に暮らす生徒にとっての『悪』なのです!
あなたは、もっと自分自身を自制するべきだ!!」
そう熱く討議する副生徒会長に、他の生徒会の会議出席者は、全員冷や冷やとした面持ちで見守っていた。生徒会長・宮原大地は、相変わらず微笑した面持ちでその表情を崩さないので、何を考えているのか分からない。その分、笑ったまま何を仕出かすか行動が読めないので、それが怖いのだ。
「やりたいことをやれなくて、生徒会長もクソもないだろう」
「あなたの考える大将は、全て自分のモノサシから成っている。
生徒会は生徒を守り、上と戦える為に唯一設けられた機関だ。自分達で学校を運営し、そしてみんなと一緒に学校を盛り上げる。その理念を元に作られた機関だ!
それが解れば、自分が今まで行ってきた所業に過ちを感じ、次を考えることが出来る筈。
何故、あなたは自分の過ちに気付かない!?」
副生徒会長の海岸端高等学校とその生徒達に想いを馳せる気持ちは本物だった。だからこそ、宮原大地の横暴に目を瞑ることが出来ず、何度潰されようが身が朽ちるまで、大地に牙を立て、立ち向かっていった。
だが、副生徒会長の熱き想いは、宮原大地に届くことはない。
大地は、副生徒会長のところまで歩いて行くと、いつものように耳元で囁いた。
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