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「でもお前。あれだけ、でかでかと書いてあるんだから、やっぱり100%じゃないのか?」
晋也の信じやすい性格は昔からだったが、これほどとはとモンキーは深い溜め息を着いた。
「あのな。そう言うことは、求人見てから言った方が良いぜ。
去年の就職内定率100%だって、恐らく卒業後に先公が世話して内定したヤツも入ってるだろうし」
モンキーのその言葉を聞いて、晋也はゾッとした。
つまりはこういうことだ。
もし、晋也が卒業までに就職出来なければ、春休みもなくずっと就職活動に明け暮れなければならない。そうなれば、七原と高城の差はどんどん縮まって、今度こそおしまいだ。
晋也の中で、それは最悪なことであり、阻止しなくてはならないことである。
瞬間、モンキーが止める間もなく、晋也はその場から消えていなくなった。
七原奈々芽とは、晋也が現在片思い中の女の子である。
少し茶髪の掛かった長い髪に、大きな瞳。そして、薄い唇とピンク色に染まった頬が、見ている男子を魅了する。大きな瞳にも関わらず、可愛い過ぎず、きりっとした顔立ちの七原は、男女問わず容姿だけでも人気は高かった。更に、七原は容姿だけでなく、学業も優秀で、何でもこなす天才肌でもある。
そんな七原を狙わない男など居ないように思われるが、七原の側にはいつも高城進という疫病神がいて、学園の男達の間では、半ば二人はできているのではないかと推測が立てられ、今やどの男子生徒からも諦められた存在だった。
しかし、そんな中、晋也はまだ七原のことを諦めてはいなかった。
今年の夏。晋也は、七原達と海へ行き、確かに晋也は七原の気持ちを悟り、諦めかけた。
しかし、先日の一件で、七原は高城のことを好いていても、その気持ちは相手に伝わっておらず、その逆もまた然りだったということが判明した。
そこで、晋也は考えた。互いの気持ちのすれ違いを利用して、その間に自分が割り込み、七原を自分のものにできるのではないかと。しかし、それは端から見れば最低の作戦だった。本人は気付いてはないのだが。
既に、晋也の頭の中では、脳内でその作戦は開始され、本格的な始動が春休みに開始されることになっていた。
しかし、その計画を前に、まさか就職活動という罠が待ち構えていようとは。
晋也は、悔しさのあまり、拳を握り締める。
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