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「説明するったってなぁ。なぁ、たらお」
「僕等は、校内選考受けてたしね」
「だから、それがおかしいだろ!大地の件でバタバタしてたあのときに、どうやって校内選考を受けられるってんだ!?」
晋也の切なる疑問に、謎野とたらおは顔を見合わせ不思議そうに首を傾げる。
そして、晋也の前で光の魔力を発動させた謎野は、その場にスキンヘッドの人間をもう一人出現させた。
「なにって『これ』で」
「僕の場合は、謎野くんの影バージョンだね」
「ズルい…」
晋也は、納得すると同時に落胆した。そして、肩をガックリと落とし、涙を垂れ流す。
この世には、魔力と呼ばれる科学では説明の付かない不思議な能力を有する者達が存在した。能力は様々で、一つとして『同じ能力は存在しない』のだが、似たような能力は存在し、それぞれ初級魔力・中級魔力・上級魔力・六大魔力という風な形で分類をされている。
たらお・謎野・晋也もそんな魔力を有する者であり、たらおは闇の初級魔力『影』を、謎野は六大魔力『光』を能力として持っていた。
「お前等は良いよな。ちゃんと真っ当に使い道のある魔力でよ。俺のなんて、なんなんだよ、この魔力ー…」
たらおは影、謎野は光と目的がハッキリとした魔力だが、晋也の魔力は一際変わったものだった。
「でも、善の魔力も六大魔力だぜ?使いこなせば、最強の魔力になるってことだろ」
「じゃあ、お前の光と交換するか?同じ六大魔力だし、条件は同じだし!」
瞬間、謎野は晋也から目を逸らし、くるりと振り返る。
「さぁ!そろそろ教室に戻るか!!」
「待てコラァアァ!!」
謎野の理不尽な態度に、晋也が激高していると、屋上のドアがガチャリと開いた。
「やっぱりみんなここに居た!」
そこに現れたのは、晋也と対(つい)を成す魔力を有する『悪』の魔力の所持者、高城進だった。
「ほら!お前と同じ、訳の分からない魔力を持った魔力者様の登場だぞ」
ヘラヘラと締まりのない笑いをする高城に対し、晋也は更に落胆する。どうして相反する力を持った男が高城なのか。晋也は未だに納得がいかなかった。
「高城、お前からも何とかいってやってくれよ。就活がどうとか魔力がこうとか、ともかくウザいんだよ、アイツ」
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