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すると高城は、晋也の方へ来ると、にこりと笑いこう言った。
「まぁ、気にするな!」
くったない笑みを浮かべそう言う高城に、晋也は溜め込んでいた怒りを一気に爆発させ、高城の胸倉を掴みグラグラと揺らした。
「気にするだろうが!普通!!」
「なんで?」
それでも尚、冷静というか無頓着な高城に、晋也は心底腹が立ち、更に声を張り上げた。
「なんでって、死んだ筈の人間が普通にホームルームやってるんだぞ?世界を潰そうとした悪魔がまだ生徒会長やってるんだぞ?
これをおかしくないって言う方が、おかしいだろうがよぉおぉッッ!!」
晋也は、高城をグラグラと揺らしながら、『あの日』のことを思い出していた。
世界の滅亡を宣言されたあの日。
海岸端高等学校の生徒会長であり、六大魔力・闇の所有者宮原大地を討伐すべく、村上晋也・高城進・郷田京・謎野少年・丸山たらおの五人は、結束し立ち上がった。難航を極めた激戦となったが、郷田の犠牲と謎野の命懸けの戦闘により、何とか世界は救われた。
とまぁ、そこまではよくある話。
しかし、ホッとしたのも束の間。数日後、晋也は驚愕の光景を目の当たりにした。
死んだ筈の郷田が教室のドアを開け、いつものように気だるそうな顔でホームルームを開始したのである。
それだけではない。突如として起こった驚愕の光景に頭が混乱する晋也を差し置いて、生徒集会に行くと、宮原大地が悠々自適に集会中に演説をし始めたではないか。
世界の敵がまだ生きている事実と、世界を犠牲にして死んだ人間がまだ生きていたとすれば、それは誰だって混乱するというものだ。
しかし、謎野を始め、たらおも高城も『その事実』に対し、無頓着過ぎることに、晋也は些か疑問を持ち始めていた。
もしかしたら、自分の知らない『何か』を、この三人は何か知っているのかもしれない。
晋也は、そう思い始めていた。
「おい。一回しか言わないぞ。よ~く聞け」
晋也は、高城の身体を揺さぶるのを辞めて、肩に手を置くと、細い目を精一杯に見開いて、冷静に言葉を発した。
「お前、何を知ってる?」
まるで尋問だった。しかし、そんな晋也の威圧など、高城にとっては知ったことじゃない。
「何がだ?」
一変の曇りもない瞳でそう言った高城は、晋也の尋問を見事はねのけた。
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