たくさんの「好き」よりも

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「でも聞くところによると、 忘年会は全然別の場所で、 あの二人は少し遅れてきたらしいよ」 「そうですか…」 気分がまたさらに沈む。 「ただ、忘年会で戸川君はかなり冷たく彼女を遠ざけて、結構酷く飲んでたって。 まあ彼、元々無愛想だけどね」 「元々酒豪でもありますしね。 よく分かりませんね…」 酷く飲んでたって、 自棄酒飲むようなことがあったの? また二日酔いだったのではと心配になる。 「僕の邪推だけどさ…。 もしかして彼女、成瀬さんとの鉢合わせを狙ったとか? 戸川君への場所連絡役は彼女だったらしいし」 あの性格なら有り得る。 でも、そこまでするだろうか。 「僕も海事の忘年会に誘われたんだ。でも金曜は泊り仕事だからって断った時、彼女もその場にいて聞いてたし」 経企室が泊りだと知っていて、 私達の常宿も前に社食で聞いていたし。 …やっぱり、わざと?
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