君へ帰る道

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「ねぇ、まだ着かないの?」 乗り継ぎ駅の長い通路に 耳障りなヒールの音を響かせて、 渡辺がついてくる。 「受付の人にリョースケの恋人? って言われちゃった、ふふ」 「……」 会社の応接室で驚愕の対面の後、 俺はスタッフから集中砲火を浴びた。 貼りつく渡辺を引き剥がし、 すごい剣幕で帰れと怒鳴ったからだ。 渡辺は泣きだし。 騒ぎを聞いて駆け付けてきたスタッフには“はるばる会いに来た恋人を怒鳴りつけた人でなし”と勘違いのレッテルを貼られ。 結局、宿も取っていない渡辺を しょいこむ羽目になった。 絶対、確信犯だ。 「……何が紳士の国だ、くそ」 俺を責め立てたスタッフを頭の中で罵る。 「先輩の部屋、楽しみー」 「……」 ムカつきすぎて、また怒鳴りそうで一言も返さないまま、自宅に向かった。
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